いじめ ―きっかけは―
「綾実って何だかいつも楽しそう。」


思った事をつい口にしちゃったけど
別にしくじった訳でもない。


「そーそー。
 常に明るいのが綾実なんだぁ♪」


綾実と一緒にいると楽しい。


「ねぇ、田邨柚花ってぇ、
 どう思う?」


出し抜けに言われ、私は
スピードを落とした。


「…え、どう思うって…?」


なんで柚花の話題するの…。


「だってさぁ…
 愛美から聞いた話だと…。」


声を小さくして、内緒話を
する声に切り替える綾実。


「小学校ではさ…
 い・じ・め…してたんだって…。」


「え…。」


愛美から聞いた話だと、か…。


じゃあ、綾実は直接知らないんだね。


でも…なんか…。


「なーんか、怖いよねぇ。」


眉を潜めて綾実が言う。


「いじめ…か…。
 あのさ、愛美の他に柚花と
 同じ小学校だった人は?」
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