いじめ ―きっかけは―
❼ 柚花・愛美・綾実・瑠夏
第7章


…おかしい。


翌日、翼は不思議に思っていた。


美海が来ないうえ、愛美達まで
教室にいないんだ。
みんな揃ってるのに。
今、授業中なのに───


今、担任の池先は翼たちに配る
プリントをコピーしに行ったから
いない。


それを良い事に、クラス全体
思いっきり騒がしい。


「はーい…静かに。」


池先がガラガラと言う音と共に
入ってきた。
後ろに美海がついてきている。


「あっ…美海。」


翼は、良かった、美海が来た。
と、安堵のため息を漏らす。


昨日、朝学校に着いたら
美海と教室でぶつかって、
泣きそうな顔をしながら、
出て行った。


翼は気になって気になって仕方がなかった。


「あ…。」


翼の通路を挟んで隣側の女子が
美海を見て、
即、目を逸らした。


…何、これ?


「先生…。」


教室に入ってきた美海が
左手の人差し指を挙げて呟いた。

< 63 / 83 >

この作品をシェア

pagetop