いじめ ―きっかけは―
「石邨さんたちにいじめられてる、
 と訴えてきました。」


「え…は…な、何言ってんの?
 頭大丈夫?
 あんた可笑しいんじゃないの。」


「あら、本性が出ちゃった?」


美海が可笑しそうにクスクスと
笑うが、目は笑っていない。


「先生こいつの言うことなんて
 信じてんの?!」


愛美がおかしそうに吹き出す。


「うわっ…もしかして、
 せんせ、ひいき?」


周りも合わせて言う。


…これだよ、恐れてたのは。


「ってか、池先そんなの信じるんだ?」


「俺達がいじめるとかマジで
 ありえないんですけどー!」


クラス中ががやがや騒いでいる。


嘘丸見えじゃん。
さっき俯いたのは?
苦い顔したのは?
反抗しなかったのは?


…───それは何だった?


「意味わかんない、お前たち!」


翼は堪え切れなくなって叫んでいた。
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