いじめ ―きっかけは―
❽ クラスの憂鬱さ
第8章


翌日学校へ向かった。


ガラガラ…


凄く勇気がいる。
だって───
先生にいじめのこと言った…。


チクったって言われちゃう…。


「よっ。」


片手を挙げて挨拶してくれるのは、
翼。


「おはよ、翼。」


私も笑顔で返事をするけど、
多分強張ってただろう。

「あ、有馬さん。
 おはよ~。」


私は驚いて周りを見回した。


「ここ、俺。
 大谷 仁、13歳。
 独身でーす。」


声の音源の方に顔を向けると
1人の男の子が机に長い足を乗せて
人懐っこい笑顔を浮かべていた。


「おはよう…ございます。
 大谷君。」


私はもう1度笑顔を引きつらせながら
挨拶した。


仁がニコッとした。


…そして私は気が付いた。
このやりとり、クラス全員が
見ているんだ。
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