いじめ ―きっかけは―
「もう屋上から振り撒いたからさ、
 あんたの携帯にメール、いっぱい
 来るだろうねぇ♪」


愛美がそう言ってニヤッと笑う。
私は絶句した。
顔写真付きで、こんな名刺みたいな
物を投げられたんだもん。


「有馬さん?」


仁が振り向いて、首を傾げる。


「ごめっ…」


私はそれだけ言って走り出した。
結構すごいスピードだったから、
涙が宙を切っていたと思うの…。


「美海?!」


「有馬さんっ…。」


多分翼と仁が追いかけてきている
だろうけど、私は走る速度を
緩めなかった。


「はぁ…はぁ…。」


疲れた…。
私は女子トイレの中にギリギリセーフで
飛び込んだんだ。


そして、涙を拭いながら
個室に入っていく。


あ、携帯確かめよう…。


私は携帯の電源を恐る恐る
入れてみた。


「着信51件───」


嘘…怖い…。


「メール67件───」
< 70 / 83 >

この作品をシェア

pagetop