いじめ ―きっかけは―

翼や仁には悪いから迷惑を掛けないように
している。
間違っても助けを求めてはいない。


これは1人で…
1人で解決するんだから。
ここで負けちゃ絶対に嫌だ。


あ、そういえば池村先生は学校を
やめてしまったみたい。
多分、ハードルが高すぎたんだ…。
今の時代にしては珍しい熱血教師
だったのにもったいない…。


今の先生は自分のことしか考えて
なさそうな若い女の先生でいじめを
見ぬふりしている。私にとっては
どうでもいい。


でもある日、何故かいじめが
バッタリ止んだんだ。


朝、下駄箱に何も入っていなくて
教室で水でも被るんだと思った。


今度は何を言おうか。


絶対に私はおかしくなっていた。
いじめられる事を待っていたのだから。
いじめっ子達をからかって
遊ぶのが楽しかったんだ。


これじゃ…これじゃ、
私がいじめてるみたいだよね。
だけど私、1度も…1度も
暴力を振り返した事はない。


暴力を振われる事はあっても。


ガラッと教室のドアを開け、
私は1歩だけ下がった。


水を被らないため。
黒板消しに当たらないため。


だけど何も教室のドアの上からは
落ちて来なくて。