いじめ ―きっかけは―
「お前キモい。」


「ブス。」


「死ね。」


クラスの人達がざわざわ揺れる。


何、これ。
どういう設定───


「美海…
 何やったの…!」


柚花が突っ立っていた私の方に
ズカズカとやってきて、
私の制服の襟を掴む。


ああ…こういう設定だったんだ。
私は改めて呆れた。
なのに。


「違ぇよ。
 お前がウザくなったから
 お前をターゲットにしただけで
 美海は何も悪くないんだけど。」


瑠夏ちゃんが私を解放してくれる。


何?
どういう事?
わけわからない。


「えっ…。」


柚花の目が潤ってるような。


こんな演技に騙されないんだから。
馬鹿みたい。


だけど、私、演技じゃない事が
分かってしまった。


柚花が悔しそうに唇を噛んで
私をちらっと見、黒板の方を向いた。
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