いじめ ―きっかけは―
「こんにちは。
 担任の池村です。
 池先でもイカ先でも好きなように
 呼んで下さいね。
 …ただし!
 人を傷つくことをした人は
 僕が許しません。
 以上です。
 では宜しくお願いします!」



おいおい、イカ先ってなんだよ、と
突っ込みはそこそこにして、
先生の観察をしてみる。



太った先生。
多分25歳くらい?
目が大きくて、髪の毛はふさふさ生えている。



正義のヒーローのような言葉を言って
みんなを笑わせたこの先生は
みんなを笑顔にする素質を持っているのかもしれない。



「えーこれから入学式だから、
 廊下に並んで。
 …有馬さんふたりが隣同士。
 そして石邨さんと
 岩田さんが隣同士って感じで並んで下さい。」



…有馬 翼と同じ場所に視線を
巡らしているのも好まない。
だから後ろの席の愛美を振り返ると



「美海たち有馬なの?」



まだ苗字は言ってなかったらしい。



「うん。
 どうやらそうみたい。」



有馬 翼はもうとっくに教室を出ている。
…いや、みんなもいない。



ヤバいと、私たちは駆け出した。
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