いじめ ―きっかけは―
「あ、いた!」


柚花が端廊下の隅でしゃがみ込んでいた。


「美海…ごめん!
 本当ごめん。
 あたし、愛美怖くて…
 断れなくて…
 本当ごめん。」


「え?
 どういう事…?」


そのあと、柚花と随分話した。


結果として───


「柚花は悪い人じゃなかったみたいだね。
 愛美に利用されてただけ、か…
 クラスの女子も。
 可哀想…。」


「うん。
 超…悪賢いんだよ。
 なんか翼君に入学式の
 次の日あたりに、
 手紙出したんだって。」


「えーっ?」


初耳だった。


「教室に放課後待っててって。
 そして、翼君、放課後にトイレ
 行ったみたいなの。
 本当はその時告白するつもり
 だったらしいんだけど、
 トイレ行ったの見て、
 良い作戦、を思いついたんだって。」


「良い作戦…?」


「うん。
 ヤバいほど奥まで考えてるの。
 わざと、美海の机に
 画鋲入れたんだって。
 それで翼君が帰ってくる頃に、
 美海の机の辺りに
 うろうろしてたんだって。」
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