【エッセイ】『蝶眠bike噺(ばなし)』
28 逆ナン事件・前編

さぁ試運転、というので、自宅から約30分ぐらいのとこにあるアウトレットで普段使いの剃刀の替え刃を買って、そのあともうちょい転がしたかったんで、普段ならそのまま帰るのを逆の道へ行ったんですね。

で、ちと喉が乾いたんで、新しく出来たらしきファミレスに寄ったのですよ。

そんで軽食にチーズケーキ頼んで、ヘルメット片手にドリンクバーで何飲もうか並んでたら、

「あのー」

と、あれ多分30代ぐらいかなぁ、薬指にリングあったんで恐らく人妻やと思いますが、すぐ後ろの女性に声かけられましてね。

「あ、すみません」

ってうちは何かやらかしたかなと思って謝ったら、

「外のバイク…」

って訊かれたんですよ。

うちしかバイクで来たのがいなかったんで、明らかにうちですよね。

メット片手やし。

うちねー、よほど声をかけられやすいのか、たまに知らないおばちゃんやらおっちゃんから、よう話しかけられよんのですわ。

でも若い奥さんは初やぞ。

一瞬まさかの逆ナンか思ったわ。

で、あれこれ訊かれたんで答えました。

彼女いわく旦那さんはハーレー乗りで、奥さんである彼女もバイクに少し興味はあるものの、よく分からなかったらしいんですね。

そこにノコノコなんも知らんとカスタムカブでうちが登場したもんやから、まぁ並びも前後やったしで声をかけられたという次第。



後半へつづく!



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