最初で最後の千歳くん。~君と1000回のキス
でも現実の『田崎千歳』くんは…


「千歳くん、ほんとに寝ちゃった」

「起きろ田崎。たーさーきー」

皆に囲まれて確かに人気者なんだけど。


全然喋らない、動かない、笑わない。

ほんとに…ナマケモノみたい…


そっか、そうだよね。

今朝、夢を見た。

『ジメ子』と命名された時の夢を。

憂鬱な重たい灰色の溜息の2つ目の理由。


新しい人との出会いに不安しかない入学式前で、ナーバスになってたと思う。

だからあんな夢を見たんだ。

そして、あの男の子と、『田崎千歳』くんを、ごっちゃにしてしまったんだ。


…ごめんなさい。

私ってば、勝手に妄想を爆発させちゃって。

田崎くんは何も悪くないのに。

ちょっと嫌だなぁって思ってしまいました。

地味でメソメソした私なんかが、既に人気のあるクラスメイトを勝手に…
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