最初で最後の千歳くん。~君と1000回のキス

命名、『ジメ子』。

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あれは梅雨時。

曇り空。

今にも雨が降ってきそうな放課後。



「吉富ってほんとに地味だなぁ」

クラスの人気者の男子が言った。


「おまけにメソメソしてるし」

彼の言葉に周りの皆がクスクス笑う。


「よし、お前のあだ名は今日から『ジメ子』だ!」

「やーい、ジメ子ジメ子~」

「私の名前は桃胡(ももこ)だよ…」

「うるさい、ジメ子だ!」


二つに結んだ三つ編みを引っ張られる。

「痛い、やめてよ…」

「ジメ子が喋ったぞ!」



降りだす雨。

タイミング悪すぎ。


「ほら、ジメ子のせいでジメジメ雨になっただろ」

「違うもん…」


私の反論なんか誰も聞いてくれない。


1人きり。

教室でランドセルをギュッと握りしめて雨が止むのを待った。

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