最初で最後の千歳くん。~君と1000回のキス
みっちゃん、真剣な顔。

こんな私を、本気で心配してくれてる。

じわりと涙が浮かぶ。


「わっ、ごめん、痛かった!?」

「…うん」


慌てて離そうとしたみっちゃんの手を、ギュッと握った。

「桃胡?」

「…うん」

それだけでみっちゃんには伝わるから不思議。

痛かったのは頬っぺたじゃなくて、私のメソメソした心。

いや、頬っぺたも痛かったけど…。


微笑みながら「仕方ないなぁ」と軽く息を吐いて、私の頭を撫でてくれる。


みっちゃんの溜息は、淡いクリーム色。

何となくだけど。


私の憂鬱な灰色の溜息は、少しだけ安堵の溜息に変わる。

重たい溜息の2つ目の理由は…今はいいや。


心なしか、雨上がりの雲のような薄いグレー色になった私の溜息は、青空へ溶けていった。
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