波乱の恋！ 私・荻島美香が彼のハートをゲットするまで

　食べ終わった客が帰った後のテーブル上の後片付けと拭き掃除…

　色々な客からのオーダー取りや対応…

　出来上がった料理類を運んだりと休む間もなく動き回ったのだ。

　この仕事に就くようになった時は勝手が分からずに１人でパニクったり、先輩や客から色々と注意や叱咤を受けて落ち込んだりした時も有った。
　今では身体の方が覚えて自然と動けるようになったのだ。

　一番忙しいピークを過ぎた時である。　

　カップルらしき若い男女が入って来た。
　カップルだと分かったのは男性が女性の手をつなぎ、リードするような形で一緒に４番テーブル席に着いたからだ。

「よっしゃ！」

　さっそく私はオーダー取りに行こうとしたが、思わず足を止めてジッと様子を伺い始めた。

　客が来たのに私が動かないのを見て、バイト仲間であり同じ聖友の後輩である工藤奈苗がソッと声をかけて来た。