この話のタイトルはあなたの名前です。
「いらっしゃいませー」

無機質な店員の声を耳にしながら
僕は『少女コミック七月号』を
手に取った。

決して僕の趣味じゃなく、
入院している妹、北見 楓(きたみ かえで)
のために購入するのだと
自分に言い聞かせながらレジを済ませた。

「ありがとうござ……ドンッ!!!!!!

大きな音がした。
前方に目やると、僕から約3m。
いや、3mもないだろう。

とにかく目の前に車が電信柱と衝突していた。
だが僕はそれだけではないということに気づいた。

変なのだ。

会社帰りであろうサラリーマンやOLが。

子供と一緒に帰る親子が。

とにかくその場にいた通行人全員が僕の足元を見ている。

その表情は驚き、唖然としている。



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