この話のタイトルはあなたの名前です。
そこからはあっという間に終わった。

すぐに警察が来た。
事件の様子を少しだけ耳にした。

ヘルメットをつけずバイクを運転していた男が車とぶつかって跳ね飛ばされ、ガードレールの端で首が切れたという。

ガードレールの端は鋭く削られていたらしく首の骨も勢いよくぶつかったため切れたらしい。

なんとも言えない内容だと思い、僕は歩き出した。

現場から離れても人々のざわめきが微かに聞こえた。
僕は小さく鼻歌を歌いながら家へと向かった。

家へ着くと、僕は「あいつ」がいるのかどうか気になった。
「あいつ」とは僕の父親だ。「あいつ」なんて呼び方ダメだとは思っているが、そう呼ぶのがふさわしい人間だ。

五年前。

母親が不慮の事故で死んでからあいつは変わった。
始めはセミのぬけがらの様にからっぽで一切動かず、妹の入院や生活をすべて放棄した。

そこまでならまだよかった。

ここ数年はアルコールに溺れ暴力を振るうようになった。
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