茜色の記憶
「もう少し考えよう。なにが一番凪のためになるか」
おじいちゃんはそう締めくくった。
帰り際、満帆さんがわたしの手を取った。
「くるみちゃん、凪のことを大事に思ってくれて本当にありがとうね」
「そんな……」
わたしはいろいろな思いが入り乱れて、満帆さんの目を見ることができなかった。
「本当に感謝してるわ。こんなお友達がいてくれて、あの子は本当に幸せ者よ」
そう言って、両手で強く手をぎゅっと握ると、満帆さんは帰っていった。
玄関先にポツンと取り残されたわたしを、お父さんとお母さんが心配そうに見ていた。