茜色の記憶
お父さん、お母さんと三人の夕食は、いつも通りギクシャクしたものになった。

「くるみは明日から夏休みか」

とってつけたように聞いてくるお父さん。夫婦の間に会話が少ないから、二人ともわたしに話しかけてくる。

「うん」

「遊んでばっかいないで勉強しろよ」

「宿題あるから、大丈夫」

お父さんとの会話が終わるとお母さん。

「でもくるみは部活もやってないし、夏休みはヒマでしょう。家のこと手伝って」

「明日から畑のお手伝いする予定だから無理」

「畑って凪くんのおじいちゃんの？」

夏休みは朝から収穫や水やりのお手伝いを凪と一緒にやると決めている。

「なんであなたがやらなきゃいけないの」

「わたしがやりたいって言ったの」

「手伝ったところで、バイト代が出るわけじゃないでしょ」

その言葉にムッとした。
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