茜色の記憶
「くるみ! 日陰にいなよ、熱中症になるだろ?」
自転車にまたがって待っていたわたしを見て、凪があきれた声で言った。
一学期の最後の日。
もう夏休み気分で学校中がなんとなく浮かれた雰囲気に満ちていた。七月の半ば、終業式とホームルームだけで下校になった時はまだ十一時過ぎたばかりだけれど、気温はもう三十度を超えていた。
ジリジリ照りつけてくる太陽の眩しさも、まとわりついてくるような湿気も、うだるような暑さも、全部含めてわたしは夏が好きだ。わたしの季節がきたなと思う。
一緒に帰る凪を待っている間も、わたしはあえて日向にいた。そんなわたしを凪は眉をひそめて見る。
「少しくらいなら大丈夫だよ」
「そんなこと言って。この前のぼせて鼻血出したくせに」
「やだ、もう言わないでよ」
わたしがふくれて見せると、凪はくすくすと笑った。
ささいなことだけど、凪がわたしのことで笑うとなんだかうれしい。もっともっと笑わせたくなる。
自転車にまたがって待っていたわたしを見て、凪があきれた声で言った。
一学期の最後の日。
もう夏休み気分で学校中がなんとなく浮かれた雰囲気に満ちていた。七月の半ば、終業式とホームルームだけで下校になった時はまだ十一時過ぎたばかりだけれど、気温はもう三十度を超えていた。
ジリジリ照りつけてくる太陽の眩しさも、まとわりついてくるような湿気も、うだるような暑さも、全部含めてわたしは夏が好きだ。わたしの季節がきたなと思う。
一緒に帰る凪を待っている間も、わたしはあえて日向にいた。そんなわたしを凪は眉をひそめて見る。
「少しくらいなら大丈夫だよ」
「そんなこと言って。この前のぼせて鼻血出したくせに」
「やだ、もう言わないでよ」
わたしがふくれて見せると、凪はくすくすと笑った。
ささいなことだけど、凪がわたしのことで笑うとなんだかうれしい。もっともっと笑わせたくなる。