茜色の記憶
食後、おじいちゃんは短い昼寝をする。

わたしと凪でお皿を洗って、少しの間お昼のテレビを見ていた。
わたしも思わずうとうとしてしまい、ふと気づくと凪がいなくなっていた。

縁側から外を見ると、凪が軒先の日陰になっているコンクリートの上に寝そべるぶっちーを撫でていた。

わたしもそこにあったサンダルをつっかけて、出て行った。

「ぶっちー、暑いのかな」

「ここは意外と冷たいんだよ」

言われてみて、コンクリートの上に手を当てた。
思った以上にひんやりとしていて驚く。

「ほんとだ」

「ぶっちーは賢いからな。ちゃんと分かってるんだよな」

優しく声をかけながら、凪はぶっちーのお腹を撫でた。
ぶっちーが嬉しそうに、喉をゴロゴロ言わせている。

「ぶっちー、幸せそう」

「可愛いよな、ほんとに」

またやきもちを焼きそうになるほど凪は愛しげにぶっちーを見つめた。

「ほんとは家に入れてやりたいんだけどさ」

「うん」

「おじいちゃん、猫アレルギーだし」

わたしはクスクス笑った。そう、おじいちゃんは絶対にぶっちーに近寄らない。

「ぶっちーも基本は外にいる方が幸せだろうから、我慢してる」

「我慢って」

「夜とか、ぶっちーと一緒に寝れたら寂しくないだろうなって」

凪はぶっちーのお腹を撫で続けながら、そう言った。
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