茜色の記憶
第三章 思いがけない過去
凪と東京に行った日の夜だった。
長く移動した後特有の疲労感に、自分の部屋でまったりしていたら、家のチャイムが鳴るのが聞こえた。
時計の針は九時を指していて、こんな時間に誰だろうとぼんやり思っていたら、お母さんがわたしを呼んだ。
「くるみ、凪くんのおじいちゃんがくるみに聞きたいことがあるって」
お母さんの不安げな声に、わたしはあわてて下へ降りた。
玄関に凪のおじいちゃんが立っていた。
「こんばんは。おじいちゃん、どうしたの?」
声をかけてハッとした。
おじいちゃんの雰囲気がいつもと全然違う。
にこやかで穏やかなおじいちゃんではなく、ピリピリとした緊張感が漂っていた。
「くるみちゃん」
わたしに呼びかける声に、憤りを必死で抑えようとしているのがわかった。
「今日、凪と東京に行ったんだって?」
おじいちゃんの様子にわたしは怯えて、うなずくことしかできなかった。
確かになにも言わずに行ってしまったけれど、夕方には帰ってきていたし、そんなに怒られるようなことだったかな。
長く移動した後特有の疲労感に、自分の部屋でまったりしていたら、家のチャイムが鳴るのが聞こえた。
時計の針は九時を指していて、こんな時間に誰だろうとぼんやり思っていたら、お母さんがわたしを呼んだ。
「くるみ、凪くんのおじいちゃんがくるみに聞きたいことがあるって」
お母さんの不安げな声に、わたしはあわてて下へ降りた。
玄関に凪のおじいちゃんが立っていた。
「こんばんは。おじいちゃん、どうしたの?」
声をかけてハッとした。
おじいちゃんの雰囲気がいつもと全然違う。
にこやかで穏やかなおじいちゃんではなく、ピリピリとした緊張感が漂っていた。
「くるみちゃん」
わたしに呼びかける声に、憤りを必死で抑えようとしているのがわかった。
「今日、凪と東京に行ったんだって?」
おじいちゃんの様子にわたしは怯えて、うなずくことしかできなかった。
確かになにも言わずに行ってしまったけれど、夕方には帰ってきていたし、そんなに怒られるようなことだったかな。