茜色の記憶
「どういうこと?」

おじいちゃんの話を聞いていたわたしは意味がわからなくて、おじいちゃんにたずねた。

お父さんも眉間にしわを寄せて、おじいちゃんを見ている。

「その当時は、わたしたちにも凪になにが起きているのかわからなかった。でもな、その後にわかったんだ。凪は手紙に込められた思いを読んだ後、一部の記憶を失くしてしまうんじゃないかってことが」

「え?」

「最初は、わたしたちの知らないところで頭をぶつけたんじゃないかと大きな病院の脳外科にも連れていったほど心配したんだ。でも、脳にはなんの異常も見つけられなかった。でもまだ、その時は凪と暮らして三カ月ほどだったし、凪もまだ幼かった。とにかくまた祖父と孫という関係を作り直すしかないと考えるしかなかった」

おじいちゃんは淡々と話し続けた。

わたしはおじいちゃんの口から語られるその話が、凪と全然つながらなくて、戸惑っていた。
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