金曜日の溺愛にはかなわない(完)
……
「社長ー。今日は…「残業ないとでも思ってるのか?」
あたしの震える声を遮って伝えられる期待はずれの声。
「今日も…ですか」
「わかってるだろ?」
「…はい」
毎週金曜日。
みんなが帰ったあとのオフィスで。
「現実を甘く見るなよ」
こんなことが口癖のうちの会社の社長。
「ほら今日もやるぞ」
社長が出してきてアパレルのカタログ。
「はぁーい」
社長のデスクからそれをとって、自分のデスクに持っていく。
少数精鋭のデザイン会社で
社長もあたしもほかのみんなも同じ部屋。
社長室なんてものはない。
━━シャキッシャキッ
あたしのハサミを使う音が鳴り響く。
毎週金曜日の残業は。
その週に出たアパレル雑誌の服をすべて切り抜くこと。
これがはじまったのはいつのことだったっけ。
あぁ、あの日は大雪の日だ。
思い出した。
ハサミで切りながら、あの日を思い出す。
あたしの震える声を遮って伝えられる期待はずれの声。
「今日も…ですか」
「わかってるだろ?」
「…はい」
毎週金曜日。
みんなが帰ったあとのオフィスで。
「現実を甘く見るなよ」
こんなことが口癖のうちの会社の社長。
「ほら今日もやるぞ」
社長が出してきてアパレルのカタログ。
「はぁーい」
社長のデスクからそれをとって、自分のデスクに持っていく。
少数精鋭のデザイン会社で
社長もあたしもほかのみんなも同じ部屋。
社長室なんてものはない。
━━シャキッシャキッ
あたしのハサミを使う音が鳴り響く。
毎週金曜日の残業は。
その週に出たアパレル雑誌の服をすべて切り抜くこと。
これがはじまったのはいつのことだったっけ。
あぁ、あの日は大雪の日だ。
思い出した。
ハサミで切りながら、あの日を思い出す。
< 1 / 13 >