金曜日の溺愛にはかなわない(完)
「なんだ?」


「ハートなんて言葉、社長いうんだなと思って」


「ばっ!何言ってんだよ」



ぼぼぼっと顔が赤くなる社長から目が離せなくなる。



「社長って意外にかわいいんですね」


「…黙れ」



顔をあたしから背けたのは照れ隠しですよね。

一度思い込んだら一直線のあたしにとって
社長のギャップはたまらなかった。

でも、まぁ。それだけ。
それ以上にもそれ以下にもならない。



「車乗れよ」



キーをかざしてから助手席のドアをあける。
あんなに横暴社長のくせにこういうとこはやたらジェントルマン。
毎週金曜日にこれを味わっている。



「今日は…?」


「腹減った」


「…?」


「察しろ。作れってことだよ」



ジェントルマンなんて思い違い。
すぐにこういう男にもどる。

ほんとに横暴社長。



「わかりましたよ」


「じゃあ行くぞ」



車を発進させる。

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