『いじめられ』る人【短篇】
翌日には私の落書きだらけの机は、転校してきた彼女のそれと入れ替わっていた。
授業中、懸命に落書きを消している彼女を見ていると、さらに皆の感情を苛立たせた。
新たにな落書きを追加されても、照れ笑いをしながらも毎回消しさり、次第に苛々と冷やかし感情がクラス全体に広がって行った。
“たまたま”ではなく……、彼女は“着実”に境界線のこちら側へ向かってきてくれていた。
彼女が転校してきてからは、確実に私に対しての攻撃は少なくなり、私もまた、彼女に対しての苛立ちを積もらせていた。
「脱出ヲ試ミナケレバ……」