オレンジ〜どうしようもないくらい君が好きなんだ〜
♪始まりはなんとなくで
君の声も知らなくて
同じ帰り道で 少し前歩いてたよね_____
懐かしい帰り道。桜並木の駅まで続く下り坂。
さっきまでの雨で桜の花びらは少し落ちていた。
高校生がいないこの時間、人通りは少ない。
少しカーブを曲がると、俺の5メートル位先を
長い茶色のストレートな髪の毛で
新しい真っ黒なスーツを着た
スタイルのいい女性が
ヒールを履いてぎこちない歩きで歩いていた。
カバンには見覚えのある
オレンジ色のうさぎのストラップ。
「___っ、涼香!!」
2時間くらい前からずっと1人でいて
声を出していなかったから
ひどくかすれた声が出た。