ラブ・マスター? 【ラブレッスン番外編】
八つ当たりするどころか、余計イラつくだけだし、頬は痛てーし。




加藤さんもいる営業部には今日はさすがにいずらいっていうのに。




もし頬とか腫れてたら午後から営業行けねーじゃん。




イライラしながら力任せに屋上のドアを押し開けてビル内へと入った。





階段の途中に、置き去りにされた本を見つけて、



さっきの女が落としてったんだとすぐにわかった。




そのまま放って置いてもよかった。




だけど




本の間に挟まってるモノが俺の足をその場から動かなくさせていた。










嘘だ。





だって俺が持っていて、家に置いてあるのに。






どうしてここにある?






身かがめて手を伸ばし、本を持ち上げる。





不自然に半分にされた細いしおり。




本の間からは俺の持っているしおりとは葉の向きが正反対の、
相対した形のしおりがしっかりと挟まっていた。




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