ラブ・マスター? 【ラブレッスン番外編】
自分のデスクに戻っても、時計ばかり気になって仕事になんかならなかった。



それでもそろそろ30分くらい経とうとした頃に、喫煙室へと向かう。



営業部から一番近い喫煙室は、外にも漏れるくらい話し声が聞こえてきてて、入るのを止めた。


自分は吸うくせに人の吐き出す煙って苦手なんだよな。
たくさん人がいると煙くてどうしても嫌だった。



企画部側の喫煙室を使おうと向かう。



喫煙室の中からは、懐かしい声が聞こえてきた。



白岩チーフだ。



合コンやってくれとかしつこく言われるかも…そう思うと入るのをためらった。



けれど白岩チーフの口調的に、目上の人と一緒にいると分かり、上司のいる前ではそんな事言ってこないか。



なんて思いなおしてドアに手をかける。





この時、白岩チーフの上司が誰なのか、なんてそこまで考えることもしなかった。




軽く手をかけただけのドアが勢いよく開く。



『きゃっ』


小さく聞こえるその声に、体が瞬時に反応して抱きとめる。



俺の胸の中に納まった人を見て、自然と笑みが浮かんだ。




「大丈夫ですか?」




そのまま抱きしめたくなる気持ちを抑えて声をかけると、


胸の中にいる由宇さんは驚いた顔のまま俺を見上げた。




 
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