ラブ・マスター？ 【ラブレッスン番外編】

久し振りに見た由宇さん。


肩付近で揺れてた髪が前より伸びたように見える。




それに、少し痩せた？





伝えたい気持ちもたくさんあるのに、いざ目の前にすると聞きたい事も出てきて



「仕事辞めるって嘘ですよね！？」




最初に出てきたのはそんな言葉だった。




嘘じゃないってわかってるのに。
言いたいことは他にもあるのに、いざとなったら頭ん中が真っ白だ。




嘘じゃない。と恐らくデスク内の私物が入れてる紙袋を拾い上げて見せてくる。



本当に辞めたんだとわかる証拠。



会社で偶然見かけるなんて事もなくなったという事実に泣きたくなる。





「仕事辞めて…部長と結婚するんですか？

どうして？本当に結婚するの？」




違う



言いたいのはそんな事じゃない。




好きだと正直に言おうと決めたのに


どうして回りくどい言い方しか出来ないんだろう。







『ーッ！！いい加減にしてよ！！』




目の前の由宇さんが突然大声で叫び俺を睨み付けていた。



息が止まって動けなくなってしまった。



だって



俺を睨み付ける由宇さんの目からは次々と涙が零れ落ちてきてたから。