ラブ・マスター? 【ラブレッスン番外編】
もし、由宇に何かあったら…


考えただけでゾッとする。




「わかってるわ。でも……立場的にみんな言えないのよ。

派遣期間中に問題起こしたら次の働き口に影響するから」




正社員とは違っていつでもクビをきられる恐れのある派遣。




その派遣に伊東はつけこんでいるのかと思うと憤りが止まらない。




ぎゅっと手に感触を感じてハッとする。





小さな手で俺の手を包み込む由宇の暖かい手。




「心配させて、ごめんなさい。

普段二人きりになることなんてまず無いけど、歩の言う通り用心するわ」





「うん……。

俺もキツい言い方してごめん。半分嫉妬してた。アイツが余りに馴れ馴れしいからさ」





少しおどけて嫉妬してたと言うと由宇は安心したように笑った。





『お腹空いたでしょう?食べたい物何か決めといてくれた?

私誰かにご馳走するなんて初めてでちょっと嬉しかったりするの』




「そっか。由宇の初奢りが俺なんだ?」




俺に対して初めての事があるんだと思ったら嬉しかった。




< 318 / 344 >

この作品をシェア

pagetop