零度の華 Ⅱ


『無駄話はここまでだ。もう、終わりにする。部下が死んでボスだけ生き残るのは滑稽だろ』


「俺が死んだ後にお前は死ぬのか?」


『フッ。あたしは部下じゃない。ただの野良犬だ』


「鎖で繋いでおいたはずだが」


『緩すぎたな。もっと強く繋いでおくべきだった』


「菖蒲(アイリス)は零(ゼロ)が女だと知ったら、驚くだろうな」


『だから、明かす前に殺った。知らない方が幸せだからな』






無駄話をするはずではなかったが、長々と話してしまった



あたしが話し終わると、再び沈黙が流れた


数秒の沈黙は雲雀の言葉で破られ、その言葉を聞いた後にあたしは雲雀を殺す



『ハァッ、ハァッ。スーッハーッ』

呼吸を整える




今まで言われたことはあった


でも、その言葉を聞いて何の感情も生まれなかったし、思うこともなかった



色々な男に散々言われたし、雲雀から聞かされたこともあったのに、どうして今、それを言われ焦っているのだろう




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