零度の華 Ⅱ
『チッ』
舌打ちを残し、浴室を出た
怪我の手当てを済ませ、荷物をまとめる
必要な物だけ大きなバックに入れた
新しい服に着替えバックを持つと家を出る
マンションのフロントに設置したボタンを押すと、そのまま振り返らず真っ直ぐ歩く
そして、バイクで30m程離れるとドカーンっと大きな音を立てた
まるで、花火が上がるような音
あたしの背中を赤く染め、大きく影を作るものは、マンションが爆発したため燃えあがる炎のせい
そう、あたしは全て無いものにするためにマンションを爆破させたのだ
フロントに設置したボタンというのは時限爆弾のスイッチ
それを押せば30秒後に爆発する仕掛け
爆弾を設置したのはフロントとあたしの部屋
もう、戻れない場所に悲しみなんてこれっぽっちもない