零度の華 Ⅱ
「その手、大丈夫ですか?」
烏(クロウ)の目線の先にはあたしの右手
あぁ、鏡を殴った時に切ったやつか
『大したことはない』
こんなものはすぐ治る
心配される程じゃない
「これからどうするんですか?」
『ホテルを探す。同業者を家に長く置きたくないだろ』
「私は別に構いませんよ。寧ろ、話し相手ができて嬉しいぐらいです」
『殺すかもしれねぇぞ』
「それはお互い様ですよ」
ホテルより断然こっちの方が広い
そして、仕事の受け渡しもすぐに行える
だが、烏(クロウ)もあたしもリスクを背負うことになる
それを承知であたしをここへ置くつもりなのか
『フッ。じゃあ、言葉に甘える』
「どうぞ。あの寝室は零(ゼロ)がご自由にお使いください」
あたしは烏(クロウ)が住むこの家に、居候させてもらうこととなった
朝食を済ませた後、烏(クロウ)によって家を案内される