零度の華 Ⅱ
今日も藤沢と情報交換をした後、緑のもとへ向かった
面ができたと連絡が入り、取りに行くためだ
「ほれ」
そう言って渡された面は目元に紫と黄色のラインが入っていて、目は雫を横にしたつり目
そしてなんといっても真っ白な肌によく映える赤い口
『綺麗、だな』
「お前には勿体無いくらいだ」
面に美しいと思ったのは初めてだ
『これは貰っていく』
「あぁ」
あたしは家に帰ると、その綺麗な面を引き出しの中にしまう
まだ、これは使わない
だから、綺麗なままに保管しておく
「羽空」
名前を呼ばれ振り返れば、ドアにもたれかかる亜紀の姿が目に映る
「退屈です」
『知るか。あたしは言ったはずだ。適当に殺しをやればいいと』
「どうやら私は、あなたに執着しているようで烏(クロウ)としては殺しが出来ません」
『知るか』
ため息と同時に着ていたパーカーのチャックに手をかける