零度の華 Ⅱ
あたしは鬼の面に手をかけ、顔の前から取り除く
視界がクリアになり、しっかりと藤沢の表情が見える
藤沢はあり得ない者を見るような驚きと困惑の表情を浮かべている
「.........おん、な?」
『そういうこと』
今まで低くしていた声をいつものキーに戻す
今日のあたしはショートの黒髪のウィッグに黒のカラコン、化粧をしてきた
そして、印象を強く与えるために涙袋と涙ボクロを作ってみた
あたしは鬼の面を椅子に置いて藤沢の目の前まで近づく
『驚いているな。まぁ、当然か。男だと思って捜査を続けてきたのに、女だもんな』
「だから、見つけれなかったのか」
『小さい脳みそで考えた答えなら、仕方ないか』
「バカに、」
『それより......』
藤沢の言葉に被せて、話を変える
あたしは藤沢に詰め寄り、小刀を首元に押し当てた