零度の華 Ⅱ
『もう、殺した』
「う、そだろ......」
『嘘をつく理由がない』
どちらに転がってもおかしくない崖の上に立っていた藤沢は、今、あたしの言葉で落ちた
絶望に満ちた顔
大切な人を失った悲しみだろう
その悲しみは、怒りへと豹変しあたしに向けられる
怒りで我を忘れ、手には銃が握られていた
目には涙、泣きながら怒りをぶつけられても何とも思わない
『その銃であたしを殺すか?お前の大切な者を奪ったんだ。憎くて堪らないだろう』
「僕は!!人殺しに、お前と一緒になる気はない!!」
『お前の妻は必死になって子供を守っていた。あの泣け叫ぶ声は最高だったよ』
「黙れ!!!」
バァーン!!と大きな音を立てて発砲された銃弾は腕を掠めた
あたしは撃たれたと同時に、尻餅をつく
人は心に余裕がない時に煽られると、頭で考えるより気持ちに従う
それを利用した
この後の為に......