零度の華 Ⅱ
交番まで行けば、確実に女のあたしが零(ゼロ)だと疑われる
まぁ、あの時は暗いし顔を見せないようにしていたから大丈夫だと思うが
「それで、どうだったんですか?」
『今のところ知られていなかった』
通夜の時はまだお巡りさんに事情聴取をしていなかったから、知り得なかっただけかもしれない
不安は残るが、今のところは男で捜査が進められているだろう
「仕事、しますよね?」
『......はぁ。お前の頭の中には殺ししかないのかよ』
「多くがそれを占めます」
笑顔でそんなこと言われたら普通、引くぞ
『今回もお前に任せた』
「また、行かないんですか?」
『やる気ない。あ、面は忘れずに付けてけよ』
「え、付けなければいけませんか?」
『あぁ。今は鬼の面が零(ゼロ)の印みたいになっているからな』
「分かりました」