零度の華 Ⅱ
あたしは飲み終えたカップを流し台へ持っていくと、2階へ上がって着替える
黒のロングヘアのウィッグに黒のカラコンをすれば完璧だ
この姿、懐かしい
リビングへ下りてきたあたしを見る亜紀がポカーンと間抜け面をしている
「コスプレですか?」
『失礼だな。あたしはまだ17歳だ』
ハッと思い出した素振りを見せた亜紀
「そういえばそうでしたね。すっかり、貴女が学生だということを忘れていました」
あたしは黙って学校へ行く準備を済ませていく
「こんな時間に学校に行くのですか?」
『あぁ』
それだけ言ってあたしは家を出た
ここから学校まで歩いて15分程で着く
こんなに家が近いと楽なもんだなと思った
今の時刻は午前11時30分
完全に遅刻
久しぶりの学校に懐かしさを覚えながら中に入れば、生徒の視線が突き刺さる