零度の華 Ⅱ


あたしは飲み終えたカップを流し台へ持っていくと、2階へ上がって着替える



黒のロングヘアのウィッグに黒のカラコンをすれば完璧だ


この姿、懐かしい





リビングへ下りてきたあたしを見る亜紀がポカーンと間抜け面をしている







「コスプレですか?」


『失礼だな。あたしはまだ17歳だ』




ハッと思い出した素振りを見せた亜紀




「そういえばそうでしたね。すっかり、貴女が学生だということを忘れていました」





あたしは黙って学校へ行く準備を済ませていく





「こんな時間に学校に行くのですか?」


『あぁ』




それだけ言ってあたしは家を出た




ここから学校まで歩いて15分程で着く


こんなに家が近いと楽なもんだなと思った






今の時刻は午前11時30分


完全に遅刻






久しぶりの学校に懐かしさを覚えながら中に入れば、生徒の視線が突き刺さる





< 190 / 420 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop