零度の華 Ⅱ
「まだ、アイツいるのかよ」
「さっさと辞めてしまえばいいのに」
そんな声の中を通り過ぎて、向かうのは理事長室
ドアをノックして中に入れば、あたしの姿を見て驚く翼の顔がある
でもそれは一瞬のことで、すぐに真顔に戻った
「お前、分かっているだろ?」
『留年だってことだろ?』
あたし達の間で成立した契約
テストだけ受け、学年1位であれば進級でき、授業にでなくていい
それをあたしが破った
「新学期が始まり、学年が変わる寸前まで学校に来ないとは。一体何をしていた」
『仕事』
「今まで進級するためだけにテストを受けていたお前が、仕事って理由だけで突然学校に来なくなるものか?」
翼はあたしのことを探っている