零度の華 Ⅱ
一応、真面目に学校へ通っていたあたしが音もたてずに学校に来なくなった
どう心境が変わったのか知りたいんだろう
『もう、学校という場所に行く目的がなくなったからだ』
雲雀の命令で高校を卒業するために通っていただけ
今、この世に雲雀はいない
今いない奴の命令に従う必要はない
「目的って?」
『大したことじゃない。それより、退学届をくれ』
「辞めるのか?」
『さっきも言っただろ。ここに来る目的がない』
今のあたしに学校へ通う理由がない
あたしは自由なんだ
命令で縛られていたあたしじゃない
翼は机の引き出しから退学届を出し、その紙をあたしに渡す
受け取った紙に目を通して、ふと思った
『印鑑なんて持っていない』