零度の華 Ⅱ



「僕も忙しいんだけど」


『運び屋がそんなこと言うのか?俺は顧客だぞ。まぁ、断るなら他を探すだけだ」


「............あー、もう!!!やるせないな。僕が断れないこと知ってて言ってるところが腹立つ」


『断れないことはないだろ?断ってもいいんだぜ?』




運び屋にとって顧客は失いたくないものだ

運び屋に限らず顧客というものは大事なものだな


依頼を断るイコール自ら顧客を断つという思考の鼠(マウス)にとっては、依頼は断れないものとなる



鼠(マウス)はチッと小さく舌打ちをすれば、断らないと言って仕事内容を聞く



『この前と同じ国だ。場所は変わりはしない』


「いつ日本(こっち)を飛ぶ?」


『明後日』


「お前には前もって早めに頼むという考えが浮かばないのか?できないのか?」


< 255 / 420 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop