零度の華 Ⅱ
「望‐ノゾミ‐を離せ」
"望"
それが赤ん坊の名前か
『何をコイツに望み、何を託したんだ?』
「いいから、さっさとその汚れた手を離せ!!」
声を荒げたせいで赤ん坊が更に騒がしく泣く
せっかく泣き止ませようとしていたのに、そう思いながらあたしはそっと赤ん坊をもとの場所へと寝かせる
泣き止まぬ赤ん坊の声だけが部屋に響き渡る
『汚い手、か。お前も汚れているだろ』
「煩い!何故、この場所が分かった」
『言っただろ?必ず殺すから精々逃げろ、と。お前が連絡をとっている奴のおかけで手こずりはしたが、病院をハッキングすれば出て来た』
「病院、だと?」
『産婦人科だ。望のおかげですぐに見つけることが出来た』
未だに泣き止まない望にチラリと目を向けて笑みを橘に見せる
「どうして、俺達を狙う。俺達がお前の正体を知っているからか?」
あたしはスッと笑みを消す