零度の華 Ⅱ
あたしには白衣の男が驚いていることなんざ、どうでもいい
それよりも名が知りたいんだ
白衣の男は息を呑んだ後、ゆっくりと口を開く
「僕の名前は咲斗‐サキト‐だ」
『咲斗、か。覚えておく』
零(ゼロ)に名を知られたとなると、逃げられないと感じているだろう
だが、そんな素振りを見せないのを見ると、この世界のことを分かっている
『お前達はどっちが兄でどっちが弟だ?』
「どちらだと思います?」
ここにきて話に入って来る亜紀は笑みを見せていた
そんな亜紀の顔を見て驚く咲斗
コイツ、驚いてばかりじゃねーか
疲れないのか、と聞こうと思ったが今はそんなことよりも亜紀に答えることが先だと思い、2人を交互に2回ほど見た
やはり、見ただけじゃ情報が少ないため、的確に兄弟を見分けることが出来ない
『咲斗が兄で亜紀が弟』
「根拠は?」
『んなもんない。勘だ、勘』
「そうですか。貴女のことですから、しっかりとした理由があっての答えかと思いました」
『無くて悪かったな。それで、合ってんのか?』
「えぇ、正解です」
正解をしたからといって特に喜びはなく、自分で聞いておきながらどうでもよく感じた