零度の華 Ⅱ


さほど遠くではない場所だったから歩いている

そして、辿り着いたのは思っていた通り貸倉庫だった


多く並ぶ中で鍵に書かれている番号と同じ番号を探し、鍵を回して中を開けると、そこには1つのテーブルに2本の刀が並んでいた


その側には黒い封筒が添えてある

私は手に取り中を見ると白い便箋が入っていた




《これを亜紀が読んでいるいうことは、あたしはここにはいないということだな》



万が一のために残したものだが、有り得ないだろうと思っていた狼の姿が思い浮かぶ


私は1行目の文から、次を読み進めていく



《あたしがここに残した物はあたしの大事な短刀である「氷刃」と「黒刃」だ。これは警察の奴等に渡したくないから、亜紀に預ける。


使えるのなら、お前が使うといい》



綺麗で達筆な字を書いてある文字達を見て、狼はこんな字を書くのかということを初めて知った

いつもはパソコンで書かれた字なのに、何故わざわざ手書きで書いたのか、その理由を今は聞くことはできない


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