零度の華 Ⅱ

『いつ、レイラに恐怖を抱いてるって言った?あたしは多分、過去に恐怖を感じている』



"今、分かった"と付け足し、雲雀から目を背けた


あたしの過去を知る者は雲雀だけ


あたしに何が起こったのかし知っている雲雀は今、同情しているんだろう





あたしの頭をソッと撫で、額に優しいキスをした



「もう、苦しめるものは何もない。俺を頼ればいい。俺はお前の(あるじ)だ」



優しい言葉に甘い声で、そして非の打ち所のない綺麗な顔立ちでこんなことを言われたら、誰もが落ちてしまうだろうな


あたしは別モノだけど




それにしても、"主"なんてよく自分で言えたもんだ



『あたしは、雲雀の犬で良かった。雲雀だけがあたしのボスだ』




そう言って一筋の涙を流す

演技に騙される雲雀に滑稽だと思いながら、あたしは雲雀とSexをした



抱いてと言ったのはあたしだが、そこに特別な感情なんてない



好きだからヤるもんだ、とか思っている奴が大半だろうが、それが常識ではない


あたしには常識が通じない


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