春はすぐそこ。

古川一家は穏やかだった。


お姉さんの桃さん。大学四年生でたまたま実家に帰ってきていたのとのこと。

お母さん、お父さんは古川とはまったく似ていないほどの優しさ。

お母さんは料理がとても上手だった。

「おふくろ…国籍全然違う料理じゃねーか。」

「いいじゃなーい。頑張ったのよ?」

「由紀、リリーの散歩はどうするんだ?」

「後で行くから。」

リリーとは、きっと、今私の足元に寝ている大型犬のことであろう。

かわいい…。

「犬嫌いか?」

「ぜんぜん。」

むしろ触りたいぐらいだ。

< 22 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop