春はすぐそこ。

よっこいしょ、と言いながらベンチに古川は腰掛ける。

「座れよ、」

「あ、うん。」

「帰ったら風呂入れよ。姉貴の寝間着貸すから。」

「本当に私泊まるの?」

「泊まるだろ?今から帰ってもどうせ親に怒られるだろ?」

親…、

今日は誰もいない。

「牧野?」

黙ってしまった私の顔を古川は怪訝な顔で覗き込んでいた、

「あ、うん、どうせ怒られるし、」

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