春はすぐそこ。
「バイト、やんのか?」
「やってみようかな。」
「俺も知ってる店だけど。厳しくねぇし、のんびりできるんと思う。」
「そっか。」
無言ーーーーー
「家まで来なくていいから。駅まででいい。」
「送るのは俺の勝手だからいいだろ。」
結局付いてくるようだ。
土曜日の午後に、制服姿の学生は見当たらない。
「しつこい。」
「あ?」
「送らないで。迷惑って言った方がわかりやすい?」
「…おまえってさ。今まで友達とか、そういうのいなかったのか?」
「…関係ある?」
「大有りだ。性格なんだろうけどよ。その性格、後で生きてくの辛いぞ。」
「友達とか、そう言うの興味ない。」
「あのなぁ…。」
「古川にも興味はない。」