春はすぐそこ。
どこのクラスにでもいるふざけたやつらがいつものごとくボールを蹴りあっていたのだが、
「あ、やべっ!!」
そんな声が聞こえてボールがかなりの勢いで飛んでいった方向に、牧野がいて…
ガシャーンという派手な音と、女子のちょっとした悲鳴、
空気が変わってざわざわとみなそちらの方角に集まっていった。
俺も無意識に、しかも小走りで向かっていた。
「牧野さん?大丈夫?」
女性の体育教師がしゃがんで声をかけている。
「すみません、どんくさくて…」
ははは…と苦笑いをしている牧野。
「牧野悪い!!」
「あ、大丈夫。ごめんね大げさにひっくり帰っちゃっただけだから。」
そうは言うくせになかなか立ち上がろうとしない。