春はすぐそこ。
こいつ、ケガしたな…
ただの直観だけど、そう感じた。
牧野の顔が引きつっている。
「立てる?みんなも拾うの手伝って、ほら野次馬は解散して。」
先生は気づいていないようだ…
牧野はテニスで使うボールをカゴ2つ分抱えていたようであたりに散らばっている。
足をひねったのだろうか、足をかばうような立ち上がり方をしている。
何も考えず、自然に手を伸ばしてた。
「先生、こいつ足ひねったみたいなんで保健室連れていきますね。」
牧野は少し引いたような顔で俺のことを見ているが今は無視だ。
「牧野さん足痛いの?」
「いえ、あの…」
「いくぞ。」
牧野の腕を引いて無理に保健室に連行する。